「靴を脱いだだけなのに…」「寝返りをうった瞬間に…」

当院にも、ちょっとしたことで足がつり(こむら返り)を繰り返し、辛い思いをされている方が多く来院されます。特に50歳以上の方に多く、激しい痛みに顔を歪ませる様子を見ていると、心からお辛いだろうと感じます。

こむら返りの原因は一つではありません。あなたの症状がどこから来ているのかを知り、セルフケアと鍼灸を組み合わせることで、繰り返す痛みを減らすことができます。

繰り返すこむら返りの主な原因

足がつる直接の原因は、神経から筋肉への指令が乱れ、筋肉が過剰に収縮してしまうことです。特に中高年の方で繰り返す場合、以下の3つの要素が絡み合っています。

  1. 脱水とミネラル(電解質)不足
    • 汗や利尿作用のある薬などで体内の水分とミネラル(カルシウム、マグネシウム、カリウム)が失われると、筋肉と神経のバランスが崩れます。
    • 当院の患者さんでも、こまめに水分を補給するだけで症状が治まる「水分不足タイプ」の方がいます。
    • 【セルフケアのヒント】 薬剤師の方の知恵を借りると、カリウムやマグネシウムが豊富な食品(干し芋、ドライバナナ、焼き芋など)を日常的に取り入れると楽になる方が多いそうです。
  2. 「冷え」による血行不良と筋肉の硬直
    • 冷えや運動不足、静脈瘤などで血流が悪くなると、筋肉に十分な酸素や栄養が行き届かず、疲労物質も溜まりやすくなります。
    • 血行不良で硬くなった筋肉は、わずかな刺激(体位変換など)にも過剰に反応し、激しくつってしまいます。
  3. 筋肉の疲労と加齢による衰え
    • 日中の活動で溜まった疲労が解消されず、夜間に発汗(水分・ミネラル喪失)や冷えが加わることで、睡眠中に足がつりやすくなります。

予防と対処のためのセルフケア

1. おすすめの簡単ストレッチ

つりやすい場所(ふくらはぎ、太もも裏)を就寝前や休憩中にゆっくり伸ばしましょう。

部位ストレッチ方法
ふくらはぎ【壁を使った方法】 壁から一歩離れて立ち、両手を壁につけます。伸ばしたい側の足を後ろに引き、かかとを床につけたまま、前の膝をゆっくり曲げます。ふくらはぎが伸びているのを感じながら20〜30秒キープ。
寝ながら仰向けに寝た状態で、片足の足裏にタオルをひっかけ、タオルを手前に引きながら、膝を伸ばしたままつま先を顔の方向へゆっくり引き寄せます。

【ポイント】

  • 急激に伸ばすと逆効果です。「気持ちいい」程度で止め、深呼吸しながらゆっくり行いましょう。

2. 自宅で効果的な「温め部位」

筋肉の緊張をほぐし、血行を改善することが予防の基本です。

  • ふくらはぎ(第二の心臓): 血液を心臓に戻すポンプ作用を持つふくらはぎを温めるのが最も効果的です。締め付けのないレッグウォーマーを着用したり、寝る前に足湯をするのがおすすめです。
  • お腹・腰(冷えの要所): 「内臓型冷え」がある方は、腹巻きや腰にカイロを貼るなどして、”おへその真裏(命門)や仙骨(お尻の割れ目の上)”周辺を温めると、全身の血流や自律神経のバランスが整いやすくなります。

繰り返すつりには、根本的なケアが必要です

水分やストレッチで一時的に良くなっても、頻繁にこむら返りを繰り返す場合、筋肉の奥深くに長年の冷えや疲労が蓄積し、セルフケアだけでは改善しにくい状態にあるかもしれません。

特に、ひどい冷え性、静脈瘤がある、または自律神経の乱れ(不眠やストレス)が背景にある方は、全身の血流と神経のバランスを整えることが必要です。

鍼灸治療でできること

  1. 血行促進と筋肉の柔軟性回復
    • 硬くなったふくらはぎや太ももの深層筋に対し、鍼で直接アプローチし、血流を改善します。お灸で冷えを解消し、筋肉の柔軟性を高めます。
  2. 神経の興奮を鎮める
    • 足のつりは神経の異常興奮が原因です。自律神経を整えるツボや、下肢の血流をコントロールするツボ(足首周辺など)にアプローチすることで、神経の過剰な指令を鎮めます。
  3. 体質改善
    • 東洋医学では、冷えや易疲労(疲れやすい)を体質として捉えて改善を目指します。結果として、足がつるだけでなく、冷えやだるさなど他の不調も楽になることが期待できます。

「ちょっとしたことで足がつる」状態は、あなたの身体が発するSOSサインです。

毎日のストレスから解放され、安心して夜眠り、アクティブに過ごせる身体を取り戻しませんか?まずは一度、お気軽にご相談ください。

あなたの身体の状態に合わせた、ケアプランをご提案いたします。