「流行り風邪をすぐにもらってしまう」「治ったと思ったらまたぶり返す」… 40代以降になると、このように感じることはありませんか?

実は、その「風邪のひきやすさ」には、男女問わず訪れる更年期のホルモンバランスの変化が深く関わっているかもしれません。

なぜ、ホルモンバランスの乱れで風邪をひきやすくなるの?

風邪をひきやすいか、ひきにくいかを左右するのは、体の防御システムである「免疫力」です。

更年期になると、性ホルモン(女性はエストロゲン、男性はテストステロン)が減少し始めます。この急激な変化が、体全体のバランスを司る「自律神経」を乱してしまうのです。

自律神経が乱れると、私たちの体には次のような変化が起こります。

  1. 血流が悪くなる:血管が収縮しやすくなり、血液の巡りが滞ります。
  2. 体温が下がる:特に手足や下半身が冷えやすくなります。
  3. 免疫力が低下する:血液に乗って全身をパトロールしている免疫細胞が、冷えや血流の悪化によって十分に働けなくなります。

つまり、ホルモンが揺らぐことで体全体の防御力が低下し、ウイルスが侵入しやすくなったり、治りが悪くなったりするのです。

今日からできる!免疫力アップのためのセルフケア3つの柱

鍼灸治療で体の巡りを整えることはもちろん大切ですが、日々の生活習慣を整えることで、体の内側から免疫力を高めることができます。

更年期の体の状態に寄り添う、セルフケアの3つの柱をご紹介します。

柱 1:自律神経を整える「巡り」習慣

免疫力は、リラックスしている時(副交感神経が優位な時)に高まります。

セルフケアポイント
夜の温浴40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かりましょう。熱すぎると興奮してしまうので、リラックスを意識するのがコツです。
深い呼吸「4秒で吸って、8秒かけてゆっくり吐く」腹式呼吸を習慣に。副交感神経が働き、自律神経が整います。
質の良い睡眠寝る前のスマホやPCはオフに。規則正しい時間に眠ることで、免疫細胞を修復する時間を与えましょう。

柱 2:東洋医学から学ぶ「温活」と「ツボ」

冷えは万病の元。特に、更年期には下半身の冷えが自律神経の乱れを加速させます。

セルフケアおすすめの部位・ツボ
「三陰交(さんいんこう)」のお灸内くるぶしから指幅4本分上にあるツボ。女性のホルモンバランスを整え、「血(けつ)」の巡りを改善するのに役立ちます。
「足三里(あしさんり)」の刺激膝の皿の下から指幅4本分下、すねの外側にあるツボ。消化器の調子を整え、全身の気力や免疫力を上げる元気のツボです。
「三首」を温める首、手首、足首の3つの「首」と、お腹を冷やさないように心がけましょう。

柱 3:免疫の土台「腸」を整える食生活

免疫細胞の多くが集中している「腸」を元気にすることが、風邪に負けない体づくりに直結します。

  • 大豆製品を意識的に摂る:豆腐、納豆、豆乳など。大豆イソフラボンがホルモンの減少をサポートします。
  • 発酵食品で腸活:味噌、ヨーグルト、漬物などで腸内環境を整え、免疫細胞を活性化させましょう。
  • 良質なタンパク質を摂る:肉、魚、卵は、免疫細胞を作るための大切な材料です。

最後に

更年期は、体の「転換期」です。心と体の声に耳を傾け、「しんどい時は無理をしない」という意識を持つことが、何よりのセルフケアになります。

当院では、お一人お一人の体質やお悩みに合わせた鍼灸治療で、自律神経とホルモンバランスを整えるサポートをしています。風邪をひきやすい、疲れが取れないなどのお悩みは、ぜひお気軽にご相談ください。